TALK SESSION

2024.10.29

速水奨 × 河森正治

速水奨 × 河森正治

河森正治

皆さんこんにちは、河森正治です。
今日は本当に素敵なゲストをお招きして、いのちが輝くとか、自分が何が得意かとか、役になりきることとか、いろんなことをお伺いできればと思っております。

速水奨

こんにちは、速水奨です。
今日は河森さんにいろんなことをお伺いして、万博の魅力をどんどん聞きたいと思ってます。よろしくお願いします。

河森正治

お願いします。初めてお会いしたのって、42年前になっちゃうのかな。最初のマクロスのアフレコ現場とか、そのときだったと思うんですけども、何回かトークとかやらせていただいてるときにも言ってるんですけど、本当めちゃくちゃかっこいいなとか、眩しい存在だったので。

速水奨

もう右も左もわからない。僕マクロス初めてオーディション受かった作品ですから。
河森さんに会う度に、僕の代表作はマクロスというようにしています。

河森正治

速水さんも、70年万博大阪は行かれてるんですよね。

速水奨

そうですね。僕、小学校6年生の夏休みだったと思うんですけど。一番覚えてるのは、月の石は見れないなって。ものすごい行列だったんですよね。

河森正治

あの頃って、8時間とかありましたよね。

速水奨

で、どこ行ったかっていうと、ザンビア館とかルワンダ館とか、そういうところに行って、アフリカの原色で作った木のお面とか、あれが面白かったですよ。

河森正治

素晴らしいですね。自分の場合は5年生だったんですけども、絶対夏は混むからといって春休み行ったんですよね。春休みだったんで月の石も見れたし、1人で飛び回って、親と別れて飛び回って、3日間で8割5分ぐらいの館は入ってる。でもアフリカの館とかの仮面とかって強烈な印象残ってますよね。あと多様性っていうか、いろんな国の人がいてとか。

速水奨

そうですよね。これ進歩と調和というテーマだったんですよね。あの頃70年代って、東西の冷戦もあったし、いろんな意味でまだ植民地もいっぱいあったし、日本もやっと高度経済成長で少し未来が見えた時期だったので、ある意味では物質文明がメインだった気がするんですよね。

僕覚えてるのが、日立だったかな、サンヨーだったかな、全自動の、なんかお風呂、勝手に身体を洗ってくれる…

河森正治

洗ってくれるやつね。なんかいろんなロボットとかも出てて、そのとき夢見た未来が今になって現実化していく。それがその通りになったのもあれば全然違う形になったのもあるし、逆に言うとテクノロジーの進歩は行き詰まりつつもあるし、そこも含めてすごく、万博行ってなかったら今の仕事に就いてないなと思うぐらいに刺激を受けてたんですね。

速水奨

あのときは正確に初めてかどうかわかんないけども、割といろんな、外来の食べ物が初お披露目されてるんですよね。それがすごくそこから外食産業が変わってくとかって、いろんな節目にもなってますよね。

河森正治

子供の頃って結構野山で遊ばれた方なんですか。

速水奨

そうですね。山の王者みたいな感じです。

河森正治

山の王者!笑 どういう王者?

速水奨

ターザン遊びとか、そういうのばっかりしてましたから。
僕、子供の頃、家の近くに川が流れていて、親たちは大きな洗濯物は川でしてました。

河森正治

すごいな。

速水奨

でも、かたや洗濯機があって、こういう、

河森正治

手回しですよね。

速水奨

だから、両極端だったんですよね。

河森正治

川が生活と結びついてた時期ってことでしょうね。自分もなんだろう。よく話してるんですけども、ドブ川とか排水溝が道にあったじゃないですか。あれが蓋をされた頃からだんだん社会がおかしくなったんじゃないかと思ってて。
暗渠化して見えなくなることで、何かおかしくなるんじゃないかと。

今回万博でも、いのち巡る冒険と題してやってるんですけども、いのちがどこから来てどこへ行くのか、それを可視化したいし実感したい。そのいのちがどこから来てどこへ行くのかが見えなくなったことによって、いろんなひずみが起きてるんじゃないかなっていうふうに仮定してるんですね。
でも、そういう意味ではね、すごくいのちあふれるところで育ってるわけですよね。

速水奨

インドへ、何十年前かに行った時に、当然舗装されてなくて、牛が寝そべっていて、牛の落し物がいっぱいあるんですよね。この町どうなるんだろうって思ってると、スコールが来て、全部綺麗に流す。

河森正治

見えていることってすごく大事ですよね。

子供の頃から、今みたいな声の仕事とか演じる仕事とかに就きたいとか思われたんですか?

速水奨

いえ。父が公務員だったので、自分も公務員になるだろうと思ってて。
ただ、思い返すと本当に僕、物心ついたときからテレビの時代劇の悪役のモノマネをしてました。

河森正治

悪役!笑 素晴らしい。

速水奨

そこでどうやったら悪役の声に聞こえるかっていうのを工夫して、大きいカンカンあるじゃないですか。丸口のおせんべいとか入ってる。そこに声をこうやって喋ると、エコーで声が低く聞こえる。そういうごっこをずっとしてましたね。

河森正治

それ何歳ぐらいのときですか?

速水奨

3、4歳です。 ものまねをするってことは言葉に敏感になるっていうことで、言葉に敏感になるってことは、ストーリーとか物語に共感できるってことで。その共感力と敏感さで表現すると、やっぱり細やかなものが出せるんじゃないかっていう気はします。

河森正治

その言葉に敏感になるっていうのは、悪役の真似をしようと思えば、どこのニュアンスがみたいなことに、耳を開いていくっていうか。

速水奨

ですよね。ただその当時は時代劇の言葉もわからないわけですよね。でも悪役の表情とか、その表情を受けた主人公の返しとか、そういうのって幼いながらもわかることってあるんですよね。だから、もしかしたら言語を超えている部分のニュアンスなのかな。

河森正治

でも、それすごい面白いですね。もしかしたら、その言語の意味がわかってると、意味でもう伝えてるつもりになっちゃうけども、非言語的なノンバーバルの部分での表現力っていうのが、そこで培われてる可能性ありますよね。

速水奨

もしかしたら濃淡だったり、強弱を超えたメリハリだと思うんですよね。
子供の頃はもちろんそんなこと意識してないし、ただ、この世界に入って、始めたときに、年齢を超えたテクニックとか、年齢を超えた熟練を出すことによって、仕事がうまくいくんじゃないかと思った時期が大分あったんです。

でも、ある時、それでは賄えないものが確実にあるなと。僕、能も好きなので、それこそ華というものだったり、2~3歳の6月6日から稽古を始める伝統というものとか、そういうものってやっぱり後からテクニックで輪郭をなぞっても、出せないものなんじゃないかなっていう気がして。

じゃあ、後発の自分に何ができるんだろうと思うと、子供の頃からの原風景とか、そのときに持ってた感情とか、そういうものをちゃんとリアルに記憶していることで、今やってる役と照らし合わせて、そこで少し、人間の輪郭を超えたはみ出るものが表現できるんじゃないかなというふうには思ってやってます。

情緒の面でいうと、植物ですね。それから昆虫。
今、日本にいて、あ、虫鳴いてる。あれ?これ松虫?いや違うな。なんだろうって思って、その先を調べない自分がいて、もしかしたら外来種入って来てて、日本の古来のものがどんどん駆逐されて、大変な生態系になってるかもしれないですよね。
ただ、自然の中にいる子たちは、それが身をもってわかってるんですね。きっとね。

河森正治

わかりますよね。確かにね。いや、本当にそこはそうですよね。
でも、その辺の部分っていうのが、なんだろう。どうやったらこの現代において、現代のね、若者とか子供たちにも、テクノロジーやめるとかそういうつもりはないんだけども、両方やったらいいのになって、両方あった方がいいなと思うし。

それこそね、新しい声優さんになろうとしてる子たちも、そういう体験とかやってると、絶対他の人たちと差がつきますよね。
ものすごいたくさんの役やるじゃないですか。そのそれぞれの役に合わせて、チューニングしていくっていうか、なりきっていくことの何かコツとか心得とかってあったりするんですか。

速水奨

呼吸ですかね。シナリオを、読んだときに感じるものってやっぱりあるじゃないですか。そこって僕、多分その役柄の呼吸とか鼓動とか脈の速さっていうのを感じるんですよね。そうするとブレスが決まってくるんです。

ただ、もちろん絵の監督がプレスを切ってらっしゃる場合がほぼなんですけれども、でもワンカット全体の中で演じるっていうことで、呼吸やリズムがちょっと変わってくる。そこが割と僕は大事にしてるとこですね。

河森正治

呼吸とかね、心拍とかって、それこそいのちある生命、特に動物系に関して言えば、もう基本の基本ですもんね。確かにそこが個人差はありますもんね。

速水奨

ありますね。僕らは人じゃないものも演じるから、そのときの、その生物が持ってる熱量というかを考えると、普通の呼吸をしていると出せないのはありますね。音量だけではなくて。
そういうものをやっぱりちょっと感じながらやることかな。

僕、今できてないのは、浮いているもの。ちっちゃくてかわいくて、浮いてるものをやりたいんですけど、僕の声だと、どうしても浮かないんですよ。重力に抗えない。これをどうしたらいいのか、まだ研究中です(笑)。

河森正治

すごい研究ですね。やっぱり人間はどうしても重力に束縛されてる部分がないわけじゃないから。

速水奨

自分の喋りの文法っていうのを、崩すってことですかね。どんな役をやってもやっぱり、あの人の喋りの文法とかデザインがあるじゃないですか。なるべく崩せたらいいなと思ってるんですよね。

話が変わりますが、アンモナイトが好きなんですよ。ついこの間も、北海道の三笠市に行ってきて、そこにこんなアンモナイトがゴロゴロしてるんですよ。
アンモナイトが露呈してる場所がいくつもあって、一生懸命掘らなくても、

河森正治

え、北海道?行かないとまずいですよこれ。

速水奨

なぜ僕は好きなのかってよく考えるんですけど、正常巻きと異常巻きっていうのがあるんですけど、異常巻きっていうのはアンモナイトが異常なのかじゃなくて、その時々の海水の温度とか、いろんな地球の要素によってアンモナイトの大きさも巻き方も全部変わってるんですよね。
世界最大のがもう3メーター近いやつがいる。ってことは、あれ殻で、ここからダイオウイカみたいな、体が出てくるわけですから、全長何メーターなんだろうっていうのは、それだけ海が豊かな時代があって、でも、絶滅する時期が来るわけじゃないですか。

生命って、ものすごい苦難の連続なんじゃないかなって気はしながらも、ちゃんと痕跡が残っていて、そこに想いを馳せる人間だったりがいることが、全体的な意味合いなのかなっていう気がしますよね。

河森正治

アンモナイトとか化石見るのは結構好きなんですけども、露呈してる場所が日本にそんなあると思ってなかったんで。中まで含めたら本当にでかいですよね。

速水奨

そうですね。しかもちょうどその三笠市とかそのあたりが、当時海だった場所で、隆起して、そこから奇跡的にアンモナイトの大型ノジュールが残ってるみたいな、そういう場所なんです。

河森正治

アメリカの方行って、化石の森、もう、化石と化した木がゴロゴロしてるところ。遠目に見ると、本当にただの倒木にしか見えないんですよね。化石に見えなくて、倒れたばっかりの木が砂漠に転がってるようにしか見えない。そこはすごい面白かったですけどね。

なんかあれですよね。昔生きていたいのちの痕跡が一種パッケージングされてるわけだから、それはそれでなんかすごく刺激的だし、その生きてた証みたいなもんですよね。

速水奨

何か示唆するものもあるんじゃないかなっていう気もするし。だからそこに惹かれるのは多分、もう本当に僕らの記憶の記憶の記憶の彼方に、過去にある何か連綿と繋がっている魂の痕跡みたいなのが、魅かれ合うのかなっていう気がしますよね。

河森正治

確かにね。それはあるかもしれないですね。やっぱり遡ればね、人間だって人間の格好してない時期が長いわけだしね。

今回ね、いのち輝くっていうのが万博全体のテーマではあるんですけども、速水さんにとって、いのちが輝いてるなと思える瞬間みたいなのって何かあったりしますか。なんか抽象的だったりしてますけど。

速水奨

すごく些細なことなんですけど、毎朝ご飯作るんですよ。で、お味噌汁を作るんです、必ずね。出汁もやっぱりいろいろあるじゃないですか。カツオとかいりこ出汁とか。その出汁と具材と味噌の種類が素晴らしく一致したときの、それを味見したときの、これはすごいなうまいなっていう。
この味覚と、作っていく過程のいろんなものが合うっていうときに、生きてるなみたいな。

河森正治

特にお味噌汁とかだと、食べ物だから、直接いのちに関わってるものだと、そういうのって実感しやすいんですかね。

速水奨

河森さんのパビリオンの中で、今まで使われてなかったコンクリートもそうですけど、映像的なものとか、新しい技術をいっぱい使われてる。
それって、僕らが体感したことないものって結構あるんですか。

河森正治

そうですね。体感したことのないものっていうか、やっぱり今回、万博の展示考える上で、今最先端っていうのがね、今の技術でどんなものができるんだろうとか、真似したいわけじゃないんですけども、何とかして他にないものを作りたいからいろいろ見て回ったんですよ。知的な刺激を受けるんだけども、なんか心動かないなとか。

テーマパーク系はエンタメだからよくできてて、すごい興奮するんだけども、なんかテーマとかそういうのを伝えるには残りにくいよなとか、そういうのが両方ある中で、何とかしてこれ両方融合できないかなと、頭だけじゃなくて心とか魂に届きながらも、エンタメ感のあるものみたいのができないかなっていうのをすごく考えていって、そうすると既存の技術だとなかなかできないなと。
XRゴーグル、VRとカメラスルーで現実が見える。
それを両方使うやつを使って、VRで異世界じゃないですけど、想像の空間の中に行くと思えば、現実の世界に戻ってきて、みんなが見てる前に不思議なことが起きてみたいな、そういうのを行ったり来たりする。その行ったり来たりしながらっていう展示って見たことないんですね。

速水奨

僕、酔いますけど体験したいですね。

河森正治

逆に酔う方に早めに体験していただいた方が、どこから酔うのかっていうのが。本当に自分が酔わないんで難しいんですよ。

感情表現とか心理的な部分を、どうやってそういう生態系のドラマの演出に持ち込めるかみたいなことは工夫してるポイントですし、あと、メカとか一切出てこない作りなんですけども、マクロスの中でクライマックスだと、歌があってドラマがあって戦闘シーンがあっての同時進行になる。
これって他の人はほぼやってないやり方なんで、そういう同時進行感っていうのを、生態系の中のマクロのスケールもミクロのスケールのものと、その中で、自分がいのちの流れに入った感覚とかを全部同時進行で表現するみたいな。そこは工夫してるとこですよね。

速水奨

それって、その体験する人が主人公になって入ってくるみたいな感覚なんですか?

河森正治

それに近いですね。

速水奨

河森さんのアニメーションの制作にフィードバックされたりすることは

河森正治

もうされてますね。もう既に何か物を作りながらも、今までここまで表現しなかったなとか、ここってどうだったんだろうとか、今作ってる作品もいろいろいくつかあるんですけども、コンテ書いててもちょっともう書き方変わってますし、全然関係ないっていうかね、全然違うことやってるはずなのに、変形メカとか作るのが早くなってるんですよ今。
すごいそれが速くなってて、どうもこれはこの仕事やってて、感覚の領域が広がったんじゃないかなって気がしてて、今まですごい多様性といっても、自分の中で考えてる多様性も狭いとこでやってたなみたいな、何か可能性の幅が広がったような気がしていて、そんなふうな感覚にちょっとでもなっていただけるようなものが作れたらいいなと思いますよね。

今日本当にお忙しい中ありがとうございました。
普段、今まで話せなかったことが話し合えてめちゃめちゃ楽しかったし、刺激を受けたし、今日お話伺ったところでもめちゃくちゃいろんなヒントになってるので、また今後何かできたらぜひお願いします。

速水奨

とんでもないです。本当にありがとうございます。可能性とか未来が少し、河森さんとお話ししてると明るいものに感じますよね。

河森正治

嬉しいですね。

速水奨

お話を伺って、まだまだ、年を重ねて楽しいものが見えてくるんじゃないかなっていう希望が見えた気がしました。

河森正治

ありがとうございます。

速水 奨(はやみ・しょう)

劇団青年座養成所 劇団四季を経て、1980年ニッポン放送主催「アマチュア声優コンテスト」を受けグランプリ受賞。劇場版アニメーション「1000年女王」で声優デビュー。
アニメーション、洋画、CM、企業ナレーションなど数多くの作品に出演。
ヴォーカルアルバム、朗読のCDをリリースする他、自らが原作・脚本を手がける「S.S.D.S(スーパー・スタイリッシュ・ドクターズストーリー)」でも多数のCD&DVDをリリース、イベントを行う。CDドラマシリーズのプロデュース、シナリオ提供。
朗読のライブやディナーショーなど、アーティストとしても幅広い表現で活動している。

OFFICIAL WEB
https://rushstyle.net/talent/show_hayami/

OFFICIAL X
@show_ism

INTERVIEW List

予約必須!超時空シアターを予約しよう
OSAKA, KANSAI, JAPAN EXPO 2025

チケット
予約はこちら