宇宙の窓
いのちが生まれる7日間
形作られていく、いのち
鶏の卵の中で細胞が分裂を始め、わずか数十時間で心臓が生まれ脈動を始める。
血管の中を血液が流れ、酸素を取り込んだ血液が急激に赤みを帯びる。
鶏の卵の黄身から胚が成長していく様子を超高解像度で捉えた映像が、
いのちが形作られていく過程をありありと映し出す。
展示内容
有精卵から胚が生じ、徐々に体の器官が生まれ、やがてひよこへと育っていく“初期”の過程を、8Kの解像度をもつ最新の顕微鏡が捉えました。








バックストーリー
一人の研究者の
情熱から生まれた映像

この映像は、医療・生命科学分野の映像作品を多く手掛けるヨネ・プロダクションの研究部として長年活躍された故淺香時夫氏の情熱によって生まれました。淺香氏は1950年代からニワトリの発生の研究に携わり、その過程を撮影・記録することに一生をささげてきました。その研究と現代の最新の技術が合わさって実現されたものです。
撮影そのものにも長い時間がかけられています。卵の孵卵条件と顕微鏡下での観察条件を揃えるために、卵はのべ800個以上使われ、受精卵の入手、試料の作成、撮影環境の整備などを繰り返し繰り返し行って撮影されました。
生命科学に新しい光を当てる
8K顕微鏡
これまでの顕微鏡は視野が狭く、細かい場所を観察するためにはどうしても倍率を上げなければなりませんでした。そのため、最初からみたい場所を特定した上でピンポイントで観察する必要がありました。
しかし、この映像で使われている8Kの解像度をもつ顕微鏡は非常に広い視野を持つため、観察したいものの全体を捉えながら、必要に応じて見たい場所を後から切り出すことができます。これは顕微鏡による観察の手法を大きく変える可能性を秘めており、生物分野だけでなく、医療分野でも注目を集めています。
ニワトリの胚
ニワトリの胚は入手が簡単なこと、多くの動物の中でも比較的大きいため観察が容易なこと、また進化的に哺乳類に近く共通する部分が多いことなどから、生物学の基礎的な研究やバイオテクノロジーの分野などでもさまざまな用途で活用されてきました。身近な例では、インフルエンザワクチンはニワトリ胚を利用して製造されています。